静かな退職(Quiet Quitting)
自分の仕事について真剣に考えすぎないことを静かな退職(Quiet Quitting)と呼びます。
- 仕事で期待以上の成果を目指すという考え方を拒否する
- 社員としてとどまりながら、仕事以外の事に重点を置く
つまり、本当に退職しているのではなく、職場に居ながら仕事を辞めているのと同じ状態の事が静かな退職(Quiet Quitting)です。
現在、アメリカの若者の間で爆発的に増えている考え方のようです。
働かないおじさん
周囲の期待に対する役割に対して、成果や行動が伴っていない中高年社員の事です。
若手のやる気を削ぐ存在として問題視されています。
さらにこれを題材にした本も出版されています。
”働きたくない人”は日本だけではない
よく、日本人は世界一会社に対する忠誠心が低いなんて言われがちですが、実は今のアメリカの若者たちにも、そう言った考えが大きくなり始めているようなんです。
私自身、そうなのだと思っていました。
ブラック企業なんて言葉は良く聞きますし、昔は過労死なんて言葉もありまして、”働き過ぎること”に良いイメージが付きづらい下地があるからこそ、日本人には仕方のない考え方なのだろうと思っていたのです。
しかし、アメリカでも同じような”働きたくない人”が増えてきている。
ちょっと不思議な気持ちですよね。
アメリカでは、すべての世代で従業員エンゲージメント(会社への貢献意欲)が低下し、特に1989年生まれ以降の若い世代がもっとも低い傾向が出たようです。
アンチワークという過激的思想の誕生
静かな退職を後押しする背景にはアンチワークという考え方があります。
働きたくない人の事を、私は最初
定時を過ぎたら仕事をやめて、家族との時間を増やすだとか、一人分の仕事量に抑え二人分や三人分の仕事を行わないぐらいの考え方だと思っていました。
そして、そう解釈している人も、もちろんいます。
このぐらいの解釈であれば、会社と相談して十分に達成できる範疇ですし、自分へのストレスや体力的問題への対策として、おかしな話ではないと思いました。
しかし、そこだけにとどまらない過激派な人というのはどこにでもいます。
それがアンチワークです。
アメリカの巨大掲示板サイト「レディット」にて、「アンチワーク:働かないことはお金持ちの特権ではない!」というタイトルでスレッド立てされた、反労働をテーマに掲げるコミュニティがアメリカの若者を中心に大きな広がりを見せているそうです。
参加者160万人を超えるそのコミュニティの目的は「資本主義を転覆させて、できる限り労働に伴う強制的要素を無くすこと」
若者らしい熱意が、在らん方向へ行ってしまったかのような、過激な思想ですね。
このスレッドを立てた管理人はこう語ります。
「ほとんどの仕事が卑劣で屈辱的で、搾取的であった」
職場でひどい目に遭った人たちが、資本家に搾取されるのではなく、資本家から搾取してやろうと考えたことが始まりのようです。
……気持ちは分かります。
誰もが思う、「お金持ちばっかりお金が入り、貧民は貧しいままだ」って言う事ですね。
大量離職(グレート・レジグネーション)
アメリカでいま「Great Resignation(グレート・レジグネーション)」=「大量離職」と呼ばれる現象が大きな関心を集めている。みずから仕事を辞める人の数が、1か月間に450万人(去年11月)と、過去最多の水準になっているのだ。
「もう辞めた!」大量離職のアメリカで何が!? | NHK | ビジネス特集
このNHKの特集記事からも分かるように、今のアメリカでは大量離職が社会問題にまで発展しているようなのです。
そう、行動力のある”働きたくない人”が一斉に仕事をやめ始めてしまったのです。
果たして、きっかけは何だったのか?
純粋に仕事がつらくなっただけかもしれませんし、知り合いが仕事を辞めたからって人もいるのかもしれません。
静かな退職について考えた結果かもしれませんし、アンチワークの思想に共感したのかもしれません。
理由はどうあれ、世界経済の中心地アメリカで、労働観が大きく変わろうとしているのは明白です。
そして、これらの”働きたくない人”を後押しした大きな要因の一つとして、コロナウイルスの存在があります。
アンチワークの参加者もコロナ以降から急激な伸びを見せていますし、離職者だって、コロナの影響を大きく受けています。
働く側の変化の始まりは、やはり新型コロナウイルスだ。コロナ禍では、感染を避ける働き方として在宅勤務などのリモートワークが浸透した。
しかし、スーパーやレストラン、工場などで働く人たちは、そう簡単にはいかなかった。感染リスクと隣り合わせで働かなければいけない中、リスクと賃金が見合っていないのではないか。そんな複雑な思いを持つ人が増えたとみられる。
この事態に、店や会社側は、賃金を引き上げて従業員を確保しようとした。
ところが、この賃上げが、くしくも離職を加速させてしまう。どこもかしこも賃金を上げているのならより良い給料と待遇を得たいと、職を転々とする人が増えたのだ。
これからの仕事にどう向き合っていくのか?
私の考えとしては、
アンチワークは元より、静かな退職もオススメは出来ません
となります。
なぜなのか?
アンチワークはあまりにも過激すぎまして、大半の人も流石に……となるでしょうが、
静かな退職に関しては、これなら良いんじゃないか?という人も多いと思います。
しかし、私の実体験からすると、良くはありません。
まず、職場に居ながら仕事以外の事に重点を置くと、余程器用な人でない限り、仕事が身に付かなくなります。
そうなってくると、もはや、何のために仕事をしているのか自分が分からなくなります。
こうなってくると、職場に行く必要が無いと思うようになってしまい、職場にいることが苦痛になり、そのストレスで、仕事以外の事まで身に付かなくなります。
つまり、本末転倒するのです。
そして、期待以上の成果を上げることを拒否することは、そもそも、期待されるとは信頼の裏返しです。信頼が無ければ、期待されません。
期待されないと、職場の居心地が悪くなります。そして――、同じ結末を辿ります。
つまるところ、仕事をするときは、その仕事をしっかりこなしましょうというのが私の考え方になります。
それでも職場が辛いなら、静かな退職で抵抗するのではなく、転職を考えたうえで本当に退職しましょう。
まとめ
- ”働かないおじさん”がいる日本だけが”働きたくない人”が多いわけではない
- 今、静かな退職という考えがアメリカの若者を中心に増えている
- さらに過激な考えのアンチワークという考え方まで生まれている
- コロナ禍と若者の会社への貢献意欲の低下により、アメリカでは大量離職が社会問題
- 仕事をするときは、その仕事をしっかりこなしましょう
- どうしても辛いなら、静かな退職ではなく、ちゃんと転職しましょう
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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